10月6日は中秋の名月|奈良は饅頭発祥の地|名店紹介

中秋の名月のお団子拡大写真Close-up photo of moon-viewing dumplings for the Mid-Autumn Festival 奈良グルメガイド

中秋の名月といえば、月見団子や栗、芋など秋の味覚が並ぶ季節。そんな風情あるひとときに、奈良の「まんじゅう」を添えてみませんか?実は奈良は、まんじゅう発祥の地とされているのです。

饅頭のルーツは林(りん)神社|近鉄奈良駅から250m

近鉄奈良駅から南へわずか250m。そこに鎮座するのが漢國(かんごう)神社。そして、その右手奥にあるのが林(りん)神社です。
毎年4月19日には「饅頭」が行われ、全国の菓子業者が銘菓を神前に供えます。


奈良から全国へ広がった「まんじゅう文化」

当初は上流階級の贅沢品だったまんじゅうですが、江戸時代には庶民にも広まりました。特に元禄期、東大寺の大仏修復にともない奈良を訪れる参詣者が増え、まんじゅうは全国へと広がっていきます。

当時、奈良には25軒ものまんじゅう屋があったとされ、「奈良みやげといえば、まんじゅう」と言われるほどの人気ぶりでした。

「祈りの回廊」という奈良県観光局が発行している情報誌に、漢國(かんごう)神社・林(りん)神社の宮司さんのお話が掲載されていました。大変、興味深いお話でしたので、要約して次に紹介します。

室町時代の初め、京都の建仁寺に、ある禅僧がいました。彼は修行のために中国に行きました。そこで林浄因(りん じょういん)という現地の若者と出会い、この若者は、この禅僧を師と仰いで、帰国の際に日本についてきました。師匠は京都の建仁寺に戻りましたが、林浄因は建仁寺に住むことは許されず、奈良の漢國(かんごう)神社の近くに住むことになりました。

林浄因は、京都の師匠を訪れるときにお土産を持参しました。最初は、当時の中国の主食であった饅頭(マントウ)という、小麦を練って、中に肉を入れて蒸しあげたものをお土産に持参しようと考えました。しかし、お寺には肉入り饅頭は適さないため、小豆の餡(あん)を詰めて蒸しあげた、現代の饅頭(まんじゅう)を作りました。これが多くの人々に気に入られ、広まりました。

当初は上流階級だけが楽しむものでしたが、江戸時代に庶民にも広がりました。特に元禄時代(1680〜1709年)、東大寺の大仏修復の際、多くの参詣者が奈良に集まり、まんじゅうが全国に広まりました。当時、奈良には25軒ほどのまんじゅう屋があったと言われています。江戸時代は、奈良のみやげと言えば「まんじゅう」だったそうです。


中秋の名月にぴったりな奈良の銘菓|和菓子店紹介

千代乃舎 竹村(ちよのや たけむら) — 奈良饅頭の代表格(東向商店街)
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1701年(元禄14年)創業の老舗。伝統的な「奈良饅頭」をはじめ、「青丹よし」や「古瓦」など、奈良の土産にふさわしい銘菓を製造しています。
近鉄奈良駅から徒歩数分の好立地で、創業の歴史と味を感じられる店です。

御菓子司 萬勝堂(まんしょうどう) — 明治創業、季節感豊かな菓子が人気(東向商店街)
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明治23年創業。代表銘菓「高円山」や、ふわふわ生地につぶあんを挟んだ「つぶあんみかさ」など、四季折々の生菓子が地元でも愛されています。
奈良公園や散策の際に立ち寄りやすい一軒です。

萬々堂通則(まんまんどう みちのり) — 餅飯殿センター街の老舗、ぶと饅頭の名店
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江戸後期創業。春日大社に伝わる由緒をもとに作られた「ぶと饅頭」や「糊こぼし」など、歴史を感じる銘菓で知られる老舗です。餅飯殿(もちいどの)商店街にあり、奈良らしい甘味を求める方に人気です。

鶴屋徳満(つるやとくまん) — 奈良の伝統を守る銘菓の老舗(下御門商店街と三条通り)
googleマップ(本店)googleマップ(三条店)

下御門商店街(本店)と三条通り(三条店)にある歴史ある和菓子店。古都奈良らしい「青丹よし」などの銘菓を製造しており、献上菓子の歴史も持つ由緒正しい一軒です。奈良らしい贈答用の菓子を探すのに適しています。

御菓子処 優月(ゆうづき) — 商店街の地元密着型和菓子店(餅飯殿通り)
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もちいどのセンター街の中心にある、親しみやすい和菓子店。材料を吟味し素材を生かし昔ながらの製法で作っており、地元の人々にも愛されるお店です。散策の合間に立ち寄りやすい気軽な存在です。

寧楽菓子司 中西与三郎(なかにし よさぶろう) — ならまちの老舗(ならまち)
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ならまちの町家に構える老舗和菓子店。上質な上用饅頭や美しい上生菓子は、茶席にも用いられる逸品として知られています。落ち着いた雰囲気で、ならまち散策の際に訪れたい一軒です。

菓匠 千壽庵吉宗(せんじゅあんよしむね)本店 — わらび餅で有名な人気店
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とろける食感の「わらび餅」で知られる人気の和菓子店。定番の和菓子に加え、季節限定の饅頭や創作菓子も展開しています。観光のお土産や手土産にも喜ばれる存在です。

光悦 奈良本店(こうえつ ならほんてん)-東向商店街入り口
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やわらかな三笠や四季折々の生菓子が評判で、地元の人々や観光客に長年親しまれています。奈良町や東大寺の散策途中にも立ち寄りやすい立地で、近鉄奈良駅からすぐの東向商店街にあることも魅力です。

本家菊屋(ほんけきくや)奈良店ー天正年間創業の老舗、東向北商店街
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天正13年(1585年)創業。豊臣秀吉がその名を与えたと伝わる「鶯餅」が看板商品で、きな粉をまぶした一口大の餅菓子は奈良を代表する銘菓です。奈良の歴史とともに歩んできた伝統の味を求めて、多くの観光客が訪れる名店です。

樫舎(かしや) — 奈良町に佇む風情ある和菓子処
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江戸時代の町家を改装した店舗で、上生菓子や季節のお菓子、干菓子など、職人が一つひとつ手作りする季節感あふれる菓子が魅力です。贈答品や茶席菓子としても人気が高く、奈良町の散策途中に立ち寄る観光客にも評判です。

春日庵(かすがあん) — 奈良らしい銘菓「さつま焼」の名店、奈良町
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明治30年創業。外は香ばしく中はしっとりとした「さつま焼」が看板商品で、奈良土産としても知られる存在です。ならまちエリアに店舗があり、昔ながらの素朴な甘さを楽しめる老舗和菓子店です。

末廣堂(すえひろどう) — ならまちで親しまれる和菓子店
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創業は明治35年。大福や最中など素朴で飽きのこない味わいが評判で、地元の常連客にも愛され続けています。ならまち散策の合間に立ち寄れる立地で、昔ながらの雰囲気を残した温かな店構えも魅力です。


さいごに

奈良のまんじゅうは、ただの甘いお菓子ではありません。禅僧と若者の出会い、文化の融合、そして人々の暮らしに寄り添ってきた歴史が詰まっています。

中秋の名月に、そんな物語を感じながら奈良のまんじゅうを味わってみてはいかがでしょうか?


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